Index Exchangeの視点

IX マーケットプレース: 2020年4月28日

チェンジからイノベーションへ

人々と産業が変化を成し遂げる能力は、その範囲と予測可能性の双方において驚嘆すべきものです。困難であったり制約を課せられる状況に置かれたり、構造が変化すると、人々と社会は素早くそれに対応するのです。1ヶ月ほど前に、世界中の経済活動が自粛に入りました。軽率な抗議活動が一部にありながらも、大半の人々は課せられた規制に協力しています。現在自宅で過ごしている数百万人と比べれば数百人の抗議は些細なことでしょう。全体として、私たちは皆、不急不要の活動を制限し、屋内で過ごしています。誰もが社会そして人類全体のために、生活の仕方を大きく変えているのです。がっかりさせられるニュースは目につきやすいものですが、それらはほとんど例外的な事例です。人々は概して善良なのです。

出典: Financial Times, Tim Harford (Undercover Economist)

このような規制は当面続くと思われます。結果として、私たちはこの状況への「チェンジ(対応)」から「イノベーション」へと移行してゆくことでしょう。近い将来、独創的な変化が見られることでしょう(と、同時に困ったものも出てくるでしょう。多くの場合、事の奥深さと愚かさは、紙一重ですから)。私たち人類の独創性は並大抵なものではありません。現在見られるイノベーションの第一波は必要に駆られて発生したものと言えますが、第二波はまさに非凡なものとなるでしょう。

出典: Buffer, Belle Beth Cooper (Content Crafter)

この業界ではディスラプション(破壊的イノベーション)を盲信する傾向がありますが、本当の意味でのディスラプションが起きるのは極めてまれなことです。社会通念が一般的なのは、それで事がうまくいくからです。そこにディスラプションの必要ありません。ディスラプションは、望めば起きるというわけではありません。通常、青い空と広がる大地という様な平和な環境下ではディスラプションは起こらないものです。しかし往々にして、資源が滞ったり、制約ができたり、本当に困り足掻く状況などが、ディスラプションの強力な原動力となります。選択肢が限られると、焦点が定まりやすくなるのです。私の予測ですが、今の状況を見ると、このようなディスラプションがそろそろ不可欠的に生まれてくるのではないかと思います。現在あるようなデジタル広告は、いわゆるドットコム・バブルが崩壊した後に、日の目を見るようになりました。金融危機は効率化をもたらし、現在のプログラマティック広告の時代が始まりました。今回はどのようなディスラプションが起こるでしょうか。認証技術のような新たな代替策でクッキー時代の終焉を乗り切るような、切羽詰まった局面がやってくる可能性が非常に高い気がします。これもまた、いずれわかることでしょう。

皆様の安全、幸福、健康を心からお祈りしております。

Will Doherty
グローバルマーケットプレイス開発担当上級副社長
Index Exchange

データ

  • 一貫性を図るため、引き続きトレンドラインをトム・ハンクスの COVID-19 スケールで表示したいと思います。上図参照。
  • しかし、現在のトレンド発展がよく分かるよう、下図では最新性を重視し指標を(3月1日ではなく)4月1日としています。

消費財と小売

消費財や小売などの大手バイヤーの大半が、依然として横ばい傾向です。しかし、上昇傾向を示す企業も一部あります。小売りチェーンのターゲット社が、引き続き群を抜いており、この機会にアマゾンからのシェア奪取を目論んでいるように思われます。世界最大の住宅リフォーム小売チェーン、ホーム・デポ社も前週比で強力な動きを見せている小売企業です。家電量販店チェーンのベスト・バイ社も先週あたりから上昇を始めています。これらの企業はすべてネット上で強力なプレゼンスを持つとともに、多くの地域では現在でも店舗運営を維持しています。これらの企業が、この業種を短期で有望なものとしています。

エンターテイメント

バイヤー投資の面では、エンターテイメント業界が依然として上昇を続けています。しかし、全体像を把握するには、エンターテイメントのサブカテゴリーを調べる必要があります。顧客の注目を得るための戦いは、今までになく熾烈になっています。ストリーミングプラットフォーム各社は、消費者の行動パターンとお気に入りを、現状の「外出制限」より先まで続く強固なものにしたいと願っています。しかし、最近の増加傾向の大半は、大手ゲームプラットフォーム(ハード・ソフト双方)からのものです。COVID-19の発生以来、ゲーム関連のコンテンツは増え続け、私のツイッターにも配信されるほどになりました。ゲームは私が日頃フォローしている分野ではなかったので、驚きでした。ゲーム中の実在しないコーチが、本物の試合での実在の人物のように、ニュースで取り上げられるようになっています。信じがたいことです。現時点で任天堂スイッチを入手するのは基本的に不可能であることは断言します。今所持していないなら、近いうちに手に入れることはできないでしょう。昔ながらの人気スポーツといえば、NFL でしょう。やった!アメフトが戻ってきました(まだ気が早いでしょうが、希望は捨てません)!

金融

例年この時期になると、税務サービス業は15日付でほとんどの広告を止めてしまいます。しかし、今年は政府が申告期間を延長したことで、4月中旬の締切日以降も、この分野の広告出稿量が上昇しています。夏期までこの傾向が続くかどうかは不明ですが、注目する価値はあるでしょう。

データ

教育

教育業界は素早く調子を取り戻しています。この業界は、COVID-19 により恒久的な変化に迫られている分野の一つです。大規模な教育を施すのに、物理的な場所はどれほど重要でしょうか。社会科学など実験室を必要としない学科では、今後、以前のような形での授業は行われなくなるでしょう。教育費が急上昇し続け、学費ローンの負債が膨れ上がる中、今回の教育のオンライン化により、本来もっと早く来るべきだった教育産業のバブル崩壊が起こるかもしれません。今のところ、教育サービス分野の広告費上昇はまだ始まったばかりです。しかし、近い将来この業種が根本から変化するに従い、多くの認定教育機関が広告主として市場に参加していくことになるでしょう。

ペットケア

*我が家の犬です。普段はこんなにおとなしくはありません。たいてい、イタズラばかりしています。皆様の中にはこうおっしゃる方もおられるかもしれません。「おいおい。ペットケアなんて、広告主の分野の中では普通だろう。自分の犬の写真を載せたかっただけじゃないのか。」まあ、そんなところでもあります。

ペットケアは順調な勢いを見せています。動物保護施設の空きが増えており、一部の施設では歴史上初めて施設自体が空っぽになっています。多くの新しいペットオーナーたちが、ペットケア用品のブランドを選び始めるところでしょう。私はレスキュー犬を2匹飼っているので(つまり、私は善良な人間ということです)、このことに非常に喜んでいると同時に、不安でもあります。皆さんがペットを飼い始める前に、いずれ生活が正常に戻ったときのことも想定していることを願うばかりです。ペットに対するコミットメントは、決して一時的のものであってはなりません。

オーストラリアは明日を先取り

今回も、北米地域以外の市場分析を続けたいと思います。オーストラリアは私のお気に入りの旅行先(世界で最上級に美味しいコーヒーが飲める場所)であるだけではなく、調査するには非常に興味深い市場です。オーストラリアでは随分と長い非常時が続いているのですが、これは(あなたがオーストラリア人でない限り)見過ごされがちです。世界で、COVID-19 が唯一最大の焦点となる中、『オージー』たちは、このパンデミックへの対応だけでなく、壊滅的な森林火災からの復旧にも尽力しなければなりませんでした。昨年はオーストラリアにとって、決して良い年ではありませんでした。南半球の善良なる人々にとっては、「もう勘弁して!」と言いたいほどだったことでしょう。しかし、良い傾向も見えつつあります。、最近のオーストラリアのニュースによると、COVID-19 の状況は落ち着きつつあり、順調にいけばロックダウンを早期に解除できる国となるかもしれないそうです。

オーストラリアの広告出稿量は、他の市場に比べ、下落傾向が穏やかになっています。

小売と消費財の分野ではある程度打撃が見られましたが、それは主にサプライチェーンに問題が起きたサブカテゴリーに起因するものでした。(オーストラリアではトイレットペーパー問題が、特に大きかったようです)。今は、政府主導のキャンペーンが、低迷している市場をなんとか支えている中、オーストラリアでも世界の他の地域と同様、自動車と旅行業種に特に急落が見られます。

しかし、オーストラリア国外への旅行は完全停止しているものの、国内旅行を推進する活動が集中的に展開されているそうです。そのことはまだ広告出稿量には反映されていないようですが、この動向は注目すべきでしょう。

オーストラリア政府は自国民に対して、年内の海外渡航制限を言明しました。そうです。「今年いっぱい」です。政府は、それに代わり、国内旅行の計画を立てるよう国民に促しています。オーストラリアの国土は広大な上に、都会人の中には他州旅行したことがないという人も大勢いるそうです。そこで、まずは国内旅行が力強く、かつ迅速に回復するのではないかと予測されます。オーストラリアの人たちに、アデレイド・ヒルズ(南オーストラリア州)に旅行して国産ワインを楽しんだり、マーガレット・リバー(西オーストラリア州)の国産シャルドネを試したりするよう勧める、州を超えた広告投資が大きな効果を上げることでしょう。また、旅行には飛行機や自動車が必要となり、それに合わせるように、マーケティング予算も組み直されることでしょう。このことは、今後世界でより大規模に広がる旅行業界再編に向けた動きの一部となるのでしょうか。興味深いところです。まずは、国内旅行を促進し、海外旅行や大陸間横断をはじめる前に、力を蓄える、ということです。これが「標準モデル」となるかもしれません。

全体的に考慮すると、オーストラリアはこれまで扱った他の市場よりも安定しているようです。そのことは、また近いうちに通常通り物事が動き始めるという希望をもたらします。オーストラリアの皆さん、よろしくお願いいたします。近いうちにお目にかかりましょう。(ジョージ・ストリートの改修は終わりましたか?)

最後に

米国のベンチャーキャピタリストであり、インターネット分野の第一人者であるメアリー・ミーカー氏は、デジタルと消費者動向に関しては、おそらく世界随一の眼力を持っていることで知られています。同氏は COVID-19 とその影響に関するレポートを執筆し、その内容は下記の記事でわかりやすく要約されています。

出典: Axios, Dan Primack (Business Editor)

レポート全文も入手可能なため、お時間があれば一読されるようお勧めします。私としては、特にこのレポートの一部を引用したいと思います:

「私たちは楽観主義者で、絶望の先には希望があることを信じています… その希望に到達するには、政府、企業、そして起業家による大規模な(そして、論理的かつ効果的な)介入が必要なのです。」

私もメアリーの楽観主義に共感します。初めの部分で触れたように、現状が次の段階へと移行するにはイノベーションが必要なのです。そして、それは確実にやってくることでしょう。

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