見通し

横ばいでも上々 – マーケットプレイス・パルス: 2020年4月14日

ウィル ・ドハーティ(Will Doherty)を特集するMarketplace Pulseヘッダー画像

横ばいでも上々

新たな四半期に入り、誰もが予想値を調整しているところでしょう。簡単に言えば、当面は横ばいでも上々ではないかということです。

世界経済が停滞を続ける中、成長を見込むことはできないので、横ばいで十分。横ばいは大したものです。。横ばいを保てれば、、乗り切ることができます。だからこそ、横ばい状態まで戻す努力が必要となります。

私たちの業界では、一部の企業の業績悪化を、業界全体に共通する問題のように捉える傾向がありますが、プログラマティック広告業界の基盤は強固なものです。広告主や代理店から支持が高く、多くの予算を扱うDSP は、財務状態が健全で、強力な親会社や経験豊富な経営陣の後押しがあります。アドテク業界は以前ほどバブリーな状況ではありませんが、それは良いことなのです。成熟した企業や産業は、安定しているものです。予測可能で信頼でき、退屈なくらいです。成長は実現しづらくなり、より意義深い開発に注力するので、成長率は鈍化しています。世界が新たな常識に向かう中、バイヤーとセラーの双方がこの成長鈍化によるメリットを短期、長期的に享受し、より安定した土台を築くことができるようになるでしょう。今後数週間で強力な企業が現れて市場シェアを獲得し、その評価が高める事でしょう。業界内の整理解雇などのニュースが去った後は、既存の企業がそれぞれの立ち位置を強化することとなるでしょう。

業界は我先にとアドテクの低迷を書き立てることでしょう。しかし、真実はそれほどおもしろいものではありません。

なぜなら、こういった記事は確固たる根拠をもたないからです。組織の適正化やスリム化によって財務上の問題は解決するかも知れません。しかし、それには人件費がかかります。現時点において、COVID-19の影響を受けた友人や家族、同僚がいないという人は少数です。先を見越すことができず、腹立たしさを覚えます。もし私に何らかの予測ができるとすれば、この業界は COVID 後も回復を見せ、以前よりも強くなると確信しています。たとえ今はそのように感じられないとしてもです。頑張りましょう。互いに親切に。きっと乗り越えられます。

トレンド概要

医薬品(消費財業種内の下位分野)

この業種は、一見、景気と無関係に見えますが、第2四半期には低迷すると私は見ています。確かに、人々は今までになく処方薬や市販薬を必要とすることでしょう。しかし見方を変えると、それこそが問題なのです。タイレノール(アセトアミノフェン)やアドビル(イブプロフェン)等はトイレットペーパー問題と同じようなパターンを辿っています。お店に並ぶよりも早く、消費者が買い込んでしまうので、在庫確保が課題となります。マーケターは状況が落ち着くまで静観するポジションをとるでしょう。

処方薬には別の問題があることに、私は当初それに気付きませんでした。医療関係者の大半が、古今未曾有の危機に直面しており、不急不要の治療や診療予約はすべてキャンセルされています。医師が急患以外の患者を診察できないのであれば、処方薬が影響を被るのは当然のことです。医薬品の販売パイプラインが損なわれてしまったのです。この業界では現状を訴えるだけでなく、流通に関しての再考も必要でしょう。

自動車

新たな四半期が始まり、予想通りこの業種は大幅に下落しました。自動車業界が再編成を起こすには、もう少し時間がかかることでしょう。出稿量を引き下げると、その後ブランド好感度を取り戻すことが難しいことは、多くの自動車メーカーは過去の低迷期の経験から知っています。しかし、この業界にとって、今回の状況は全く新たな挑戦なのです。人々は現在、自動車の試乗やその他の方法による購入ができない状況にあります。これは、単純に経済不安から来るものではありません。これまでは不況の時でさえ、販売パイプラインは機能していました。今はそれすらないのです。

このため、自動車メーカーの広告出稿量は減っているものの、デトロイトからは新たな強いメッセージが発信されているわけです:

ブラボー、ドナー。

今回の危機は、プログラマティック広告にとって、ある種の促進剤になり得るかもしれません。自動車業界は、プログラマティック広告の導入が最も遅れている業界の一つです。この業界では、いまだに過剰なほど従来型の広告取引が続けられています。このような流れを止めるのはそう簡単ではなく、従来型の取引が勢力を振るってきました。しかし、今回世界がある意味止まってしまったのと同時に、この勢いも減退しています。状況が改善される頃こそ、自動車業界が優先して採用してきた出稿形態を変えるベストチャンスとなるかもしれません。この点に着目し、同様の結果が期待できる他業種にも注目しましょう。

メディア

メディア業界からの出稿額は新コロナウィルス発生前より伸びており、現在の厳しい市況に抵抗せんとしています。しかしそれは、他業種からの出稿縮小による打撃を補えるほど、大きくありません。私がこう述べるのは、この成長が例外的なものだとは思わないからです。ストリーミング・プラットフォームの間では、消費者の争奪戦が起こるでしょう。Netflix では競争が始まる前に、プログラマティック広告を活用して効果的に有料会員ベースを構築しました。プログラマティック広告の柔軟性と拡張性を巧みに活かしたのです。後発企業は、同様の方法を用いてシェア獲得を目指さなければなりません。これは注目すべき傾向でしょう。

オープンマーケット

プログラマティック広告のオープンマーケットは、一瞬注目を浴びることでしょう。導入作業やカスタムクリエイティブ、またより大がかりな計画が必要な直接取引は低迷しており、これはしばらく続く見込みです。端的に言うと、直接取引では、今マーケターが求めているようなスピード感と柔軟性を提供できないのです。世界が少しでも予測可能な状態になるには、しばらく時間がかかることでしょう。現時点においては、コミットメントは二の次で、機敏性こそが最も求められており、何よりもバイヤーの選択肢の中で重視されています。

これはどういうことでしょうか?パブリッシャーは、オープンマーケットの価格設定を見直す必要があるということです。バイヤーは勝率に特に注目し、飽和したサプライチェーンの中に価値を見出そうとするでしょう。そして、パブリッシャーは、これまでの価格戦略を練り直す時です。一部の広告主はパブリッシャーとの直接取引に強くこだわり、パブリッシャーはオープンマーケットで非常に高いフロアプライスを設定する結果となっていたわけですが、今後はこういった広告主が戦略を見直す必要に迫られるかもしれません。

広告主企業が直接取引ではなく、オープンマーケットの機敏性を利用するのであれば、ロックダウン(外出自粛/禁止)期間中にその選択肢の実行を考慮すべきでしょう。このことはいくら強調しても足りません。この戦略は後でいくらでも変更できるのです。今は調整の局面です。外出自粛が解ければ、すべてが白紙に戻ります。古いフロアプライスを見直し、ことにあたりましょう。

考察

これまで、マーケターはメッセージの出し方を変える必要があると述べてきました。そしてこういったメッセージ改革は急速に広がっており、今やその方向転換がパロディーになる程です。

今年のメディアプランニングのサイクルは、例年とはかなり異なるでしょう。年間、シーズン前契約などの長期契約を控え、広告代理店は第3、第4四半期のプランニングを6月まで持ち越すことでしょう。通常、この期間のプランニングは5月には終わっているものです。しかしこれは、パブリッシャーの皆さんにとっては、バイヤーのために価値あるプランを用意する時間的余裕ができます。第2四半期は、コスト削減、 価値、柔軟性に注力する時になります。これらのテーマは現在、マーケターが注力するテーマと強く共鳴するものとなっています。今こそイノベーションを起こす時です。有効な手段に確実に焦点を当て、新たなアイデアとその試行のバランスを見出しましょう。この時間の余裕を賢明に活用しましょう。コミットメントよりも、スピードと柔軟性を提供する施策について考えましょう。

カンヌ / イベントなど

業界主催のイベントが今年の終わりまでほぼ完全にキャンセルされた今、イベント開催自体の価値が全般的に見直されることでしょう。世界が再起動する時には、贅沢で時間のかかる無用の長物には戻る場所がないように思います。これまでもヨットやワインへの投資効果に疑いを抱き続けていた CFO らは、おそらくそのような事に対する資金提供を渋るようになるでしょう。この際、イケイケのブランド企業にもお別れを告げておきましょう。そのうちノベルティーの充電器やノート、ウォーターボトルを見かける機会も減ることでしょう(自宅での自主隔離で私の目に入るアドテク関連のガラクタの量はおぞましいものです。ベネツィアの水路のように、ガラクタ入れの引き出しも地球全体も、この休止期間でどれだけ救われることでしょう)。

2021年には代わりに、もっと小規模で、コスト効率の良い、少数のイベントが登場することでしょう。しかも、ウイルスの第二波を恐れて、人々はしばらく旅行を敬遠するようになるかもしれません。そこで問題になるのは、これらのイベントを材料にする出版物はどうなるのか、ということです。私たちが依存するようになったこの業界全体においては、いくらかの変化(おそらくM&A?)が起きることでしょう。

最後に

4月を迎えることができたことだけで、多くの人が達成感を抱きました。ようやく、日常と普通と呼ぶに近いものが一部戻ってきました。以前とは違うとは言え、、もはやそれほど違和感も感じなくなりました。リビングでニュースやトークショーを見るのも、前ほど不快ではなくなりました。オンラインショッピングで日用品の配達時間を予約する(そして予約通りに届かない)のも、今や日常生活の一部となりました。このような中ではありますが、皆様はじめご家族、同僚の方々の健康を心からお祈りしております。昔から、春はリニューアルの時期です。今我々が経験してることにぴったりの隠喩でしょう。新たなパラダイムでの成功がどの様な形であるのか、視点を変えて考えてみましょう。お手元のデータの中から、回復の兆しを探し、道を均しておきましょう。今後数か月で、マーケターはその道をゆっくりと遡りはじめることでしょう。そして、、その歩みをしっかりサポートできるよう、心して待ちましょう。

次号での特集に希望の話題がございましたら、MarketplacePulse@indexexchange.com までお知らせください。

Will Doherty
グローバルマーケットプレイス開発担当上級副社長
Index Exchange

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