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The Drum: Google Chrome から姿を消す Cookie とパブリッシャーへの影響

技術や業界のシフト、構造の変化、急激な進歩などにより、デジタルメディア業界は興味深い局面を迎えています。さらに1月14日には Google によってサードパーティ Cookie の歴史に終止符が打たれることになりました。2年以内に Chrome から姿を消すことが発表されたのです。

Cookie の終焉については度々議論されていたこともあり、このニュースはショッキングではありませんでした。ただ、「Cookie の終わりはいつ訪れるのか?」という疑問は完全に解消されたものの、新たな問題が持ち上がりました。そして特にその影響を被ることになるのがパブリッシャーです。具体的に何が起こるのか?その影響は?

簡単に言うと、業界は、消費者の信頼、同意、そして明確な「価値の交換」を基本原則として、メディア企業とその技術パートナーによって構築、運用、革新が行われるフレームワークへと急速に方向転換する必要があります。

その影響について触れる前に、これまでの経緯を振り返り、今後の行き先についても考えてみましょう。

背景

今回の発表に先立って実施された、サードパーティ Cookie に対する Safari のアプローチによって、フィンガープリンティングは急激な需要の高まりを見せました (これはユーザーやパブリッシャーにとって未知の領域であり、効果的にオプトアウトする方法も存在していませんでした)。9月に Firefox が ETP を導入すると、パブリッシャーはドイツが炭鉱の『カナリア』なのではと危惧し始めます。ドイツのパブリッシャーは一夜にして収益のおよそ30%を失う結果となりました。直後に発生した深刻な収益の低下により、パブリッシャーによる高品質なコンテンツの運営や作成がほぼ不可能となったのです。マーケター、パブリッシャー、テクノロジー企業にとって、サードパーティ Cookie 終焉の兆候は、あたかもダモクレスの剣のように業界全体を一触即発の状況へと陥れました。先行きが不透明で、現在も不安定な状態です。

Google の発表により一つのことが明らかになります。業界がサードパーティ Cookie に別れを告げるまで2年の猶予があるとわかりました。「Privacy Sandbox」には様々なシナリオにおける代替案が含まれています(中でもコンバージョン属性が最も取り上げられています) が、「バイヤーに対するメディアのアクセシビリティをどうやって維持するのか」というパブリッシャーが抱える最も重要な問題が残されています。

パブリッシャーへの影響

ここ数年、ピープルベースでプライバシー最優先のソリューション構築に心血を注いできた私たちにとって、その答えとソリューションに変更はありません。個々のパブリッシャー向けにサンドボックスされ、ユーザーによる完全な制御を可能とする本当の意味でのピープルベースのアクセシビリティを誕生させることが鍵となります (同様の提案を構築する取り組みについてのスタイリストの意見はこちら)。

パブリッシャーページへのログインやサインアップのモーダルを考えてみましょう (一例として現在このタイプのモーダルを採用している「The Drum」の例を挙げてみます)。The Drum にログインすると、ログイン情報 (電子メールのハッシュ) がコンテンツを解錠する「鍵」として作用しますが、このログイン用の「鍵」を使って二つ目のロックであるメディアへのアクセシビリティを解錠する機会があります。

この「デュアルアンロック」アプローチの重要な構成要素が、ユーザーへの公開とユーザーの同意です。「ユーザー同意」を求める場合、The Drum の技術パートナーは電子メールのハッシュをウェブ上で安全に使用でき、パブリッシャーに特化されたIDへと変換することで、様々なデジタル広告シナリオを実行することができるようになります。ここで重要なのは、特定のパブリッシャーが持つオーディエンスのことを理解し、彼らに相応しいメディアキャンペーンを展開する方法がバイヤーに対して提供されることです。これはサンドボックス化されていることが重要です。「The Drum」の後に「The New York Times」を閲覧してもドメイン間でユーザー情報が共有されることがあってはいけません。ユーザーとしてこのパブリッシャーを解錠することを選択しない限り、匿名性は保たれます。

今後待ち受ける機会

「おいおい。夢でも見てるんじゃないかい?それのどこが改善なんだ?」と感じるかもしれません。しかし今後さらに発展すれば、マーケターとパブリッシャーは今日のレガシー化した Cookie ベースのキャンペーンの代わりにピープルベースのキャンペーンを実行できるようになります。ピープルベースのオーディエンスとのみ取引を行うクローズドプラットフォームにマーケターが集まる中、ピープルベースのキャンペーンが有利であるのは明らかです。(そうでなければ、クローズドプラットフォームに費やされるのは消費者のオンライン消費時間の45%程度でありながら、メディア支出の70%以上を吸収している理由がみつかりません)。 Cookie ベースのエコシステム層が瓦解する中、これまでの進歩を活用して新たなノーマルを確立し、新たなデジタル広告の土台を築く機会が訪れています。

進歩や変化には不確実性がつきものです。そして私たちは Cookie からの脱却が破壊的変革をもたらすことを理解しています。このシフトが業界にとってポジティブなものであることはわかっていても、それは依然としてシフトなのです。私たちは技術パートナーとして、パブリッシャーにとって可能な限り円滑な移行を保証する役割と責任があると理解しています (それは何年も今回の変化を予想してきた理由の一つでもあります)。ここから「もしテクノロジーによりパートナーの移行が容易になるのなら、その新しいノーマルに備えてパブリッシャーは今何ができるのか、何をすべきなのか?」という疑問が生まれます。

その答えとは?ユーザーとパブリッシャー間における価値交換にフォーカスするということです。これは実務面では、優れたユーザー体験を提供することを意味しています (高価値なコンテンツ、適度な広告密度、自動再生の設定などを考えてみてください)。時間が経つにつれて、ユーザーとパブリッシャーとの間に信頼関係が築かれ、アカウント作成やログイン時への不安が払拭されることになります。パブリッシャーの多くが、すでにこのことを念頭に置いた試みを始めています。つまり、すべてのプロパティで、あるいは現在未知のトラフィックのみを提供するブラウザからのトラフィックにおいて、ログインを求める前にいくらかの記事や制限付きアクセスを提供するといった形です。サードパーティ Cookie が失われた世界においては、この価値交換の理解と最適化がパブリッシャーの成功を際立たせるものとなるでしょう。

パブリッシャーによるマネタイゼーションが可能で、マーケターによる関連キャンペーンの実施とその評価が可能となるオープンで、かつ様々な要素が混在した広告エコシステムを維持することが重要となります。当然のことながら、信頼と同意が新たなパラダイムであり、どちらも技術革新が構築されるフレームワークの形成に必要不可欠なものです。

業界がこの基礎へとシフトするまで、私たちには2年の猶予が与えられています。さあ、作業に取り掛かりましょう。

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