見通し

IX マーケットプレース: 2020年4月7日

ウィル ・ドハーティ(Will Doherty)を特集するMarketplace Pulseヘッダー画像

景気の減速が懸念され、先行きが見通しづらい現状において、Index Exchangeでは、皆様の道しるべとなることを願って、先週よりニュースレター「IX マーケットプレイス・パルス」の発行を始めました。エクスチェンジから見えるデータや、広告出稿動向とインサイトを週次でお届けして参ります。

第1号をお読みになり、ご意見ご感想をお寄せくださった皆様、誠にありがとうございました。次号での特集への希望がございましたら、MarketplacePulse@indexexchange.com までお知らせください。

皆様の安全と健康を心からお祈りしております。

Will Doherty 
Index Exchange, グローバルマーケットプレイス開発担当上級副社長

今週の最新情報:

出稿額は先週の傾向が続き、概ね横ばいとなりました。

*その深刻さが本当に分かったとき

  • 3月29日の数値を2週間前(3月15日)のものと比較してみると、平均入札価格に大幅な下落が見られます。特に、エンターテイメント等特定の分野に大きな打撃が見られます(例:スポーツイベントのキャンセル)。
  • 3 月中旬には、大きな反発が見られました。 出稿戦略に関する対策を検討していたマーケターの多くが、3月の第2週と第3週の間に実行に踏み切っています。
  • しかし、特定の曜日の平均入札価格には大きな変動は見られません。3月29日と過去2週間における平均入札価格を比較してみると、比較的安定しています。
    • 興味深いことに、 消費財 が伸びを見せ始めるなど、いくつかのケースでは回復が見られます(つまり、予想に違わず 消費財メーカーがすでにプラン変更をしたことを示唆しています)。
  • これはバイヤーの反応の大半が、波状に発生したことを示しています。マーケターが慌てて反応したため、3月中旬の変化が激しくなったのです。その後、3月後半には価格は横ばいとなり、安定的に推移しています。これは、第2四半期の嵐の前の静けさでしょうか。

懸念とともに次の四半期を迎える

先週私が話した広告バイヤーは、揃って4月初旬の低迷を予想していました。問題は、その全体的な下落をいかに正確に定量化するかです。もっとも、これはデータ分析による裏付けがあるわけではありませんが、会話を通して得られた多々の事例からすると、広告消費による売上高は10~50%の幅で低下すると予測されます。しかし、これほど幅があるということは、誰も本当の影響を理解していないことをも意味するでしょう。結局、どうすればよいのでしょうか。このような事態に先例はありません。これは単なる不況や世界的事象、季節性の低迷ではありません。それらすべてが一斉に発生したようなものでもあり、と同時に、それらとは全く異質の出来事ともいえます。過去の出来事の中で、今後起こり得ることの先例として頼れるものは何一つとして存在しません。確実に分かることは、何かが起こるということだけで、今後数日で、何が起きるか明らかになってくることでしょう。

まずは何よりも、自分の手元にあるものをしっかりと管理するということです。ほとんどの人にとって、それは知識にかかっています。営業、アカウント管理、トレーダー、広告業務担当はそれぞれ、数値を深く掘り下げる必要があることでしょう。自社のビジネスのどこが強く、どこが弱いかを理解し、詳細まで把握することです。深く掘り下げなければ、物事が(良くも悪くも)変化する時に気付くことができず、変化への対応が遅れてしまいます。

考えると暗くなってしまいますが、私自身は悲観的にはなっていません。広告出稿の観点から見ると(人生全般の話ではなく)、4月は1月と同じような雰囲気になると思っています。例年、12月の出稿額と比較して、1月には急激な下落があります。その時パニックにならないのと同様、今回もそうあるべきです。1月のみならず、毎年第1四半期には、市場が回復するのに時間がかかるのです。広告キャンペーンを予約しなければなりませんし、予算も確定しなければなりません。クリエイティブにもタグ付けが必要です。時間はかかっても、最後に市場は調子を取り戻します。これは、第2四半期に広告主企業各社が再始動する状況とそれほど違いがありません。2020年には、1月が2度やって来るようなものです (・・これはすごいことです!私は誕生日を2回も迎えてしまいます)

元来この業界には回復力が備わっています。しかも、すでに準備が必要なことも分かっています。これは他の業界に比べ、早めに状況を理解できているということであり、この業界の強みです。無駄にしないようにしましょう。

広告主業種別予測

自動車
第2四半期に最も大きな影響を被るのは、自動車関連だと予想しています(すでに明らかに下落した分野以外)。自動車関連業界は慌ただしく広告メッセージの練り直しに迫られているだけでなく、この混乱の中で消費者の需要がどこにあるのかを把握しようとしています。消費者は自動車の試乗が好きですが、家にとどまっていては無理でしょう。購入に際し熟考を要するような商品は、他の商品より逆風に晒されるでしょう。4月末まで「外出自粛」勧告が発令される中、今月中は自動車関連業界が苦戦しても、驚くことではないでしょう。

  B2B
動向を見守るのに興味深い業種です。パンデミックの発生以来、一部の企業は一夜にしてブランド認知を獲得しました(特に Zoom)。それらの企業にとっては、経営意思決定者たちだけではなく、消費者との新たな顧客関係の構築に力を注ぐことが賢明でしょう。プログラマティック広告は比較的導入が容易で、価格も魅力的であるため、より多くの分野で主要企業が試用をはじめることが見込まれます。こういった投資が日和見的なものとなるのか、あるいは新たな常識となるのか、今は判断が難しいです。いずれにせよ、パンデミックの間に変化した人々の行動パターンの一部は、外出制限が解除されても残ることでしょう。Microsoft Teams や Skype、Slack、Google Duo や Hangouts などが普及し続けても不思議はないでしょう。

ロングテール
ウォールドガーデンや大手プラットフォームの大半は、公表された業績予想を下方修正しています。記録的なトラフィック量にもかかわらず、広告収入には大きな打撃が予想されるためです。しかし、これらのプラットフォームが中小企業の広告収入に過多に依存してきたことに起因すると考えます。そして、まさにその中小企業の多くがパンデミックにより、壊滅的なダメージを受けているのです。このセクターは、我々のプログラマティック広告業界が特に予算獲得に苦戦してきたセクターです。DSPは最低出稿額が決まっていることが多く、なかなか複雑なプラットフォームだからです。この結果、中小企業の広告費の多くが大手プラットフォームに割かれていたのでしょう。

継続するトレンド

先週述べたように、広告バイヤーやマーケターは新たなメッセージや新戦略へ移行するため、より多くの時間を必要としています。まるで、空中給油をしている飛行機のようです。これはあくまでも先週時点での私が広告バイヤーと交わした会話に基づく話しに過ぎませんが、いずれにせよ、今回の変化が些細なものではないということは、いくら強調してもし過ぎることはないでしょう。広告バイヤーの新たなメッセージや戦略移行には時間がかかります。実行されるのは、5月か6月になるかも知れません。

現在、最も大切にすべきは人々の気持ちに寄り添うこと、共感です。業界関係者全員が共感に重点を置くべきです。広告主各社にとっては、消費者に対するメッセージにおいてこの共感が不可欠です。メディア企業は、地図のない状態で到達困難な目標に向かっている広告主企業に対して、共感する必要があります。アドテク企業は、ユーザに対する共感が必要です。これは共感の好循環であり、親切と配慮のはずみ車とも言えるでしょう。

回復に向けての戦略

4月の下落を乗り切るためのいくつかの戦略をご提案しましょう。

パブリッシャーの皆様

  • 4月は、覚悟して臨みましょう。ですが道は険しくとも、必ず終わりが来ます。自社でコントロールできることに注力し、優先順位の高いパートナー企業との会話に集中しましょう。
  • 季節は春、北米では春は大掃除のシーズンです。広告主ブロックや業種ブロック、フロア設定は、広告デマンド(出稿)を抑制するものです。現在のような流動性が乏しい市場では、広告ブロックを見直し、広告出稿促進することは価値があります。物事が通常に戻り始めた時には、ブロック設定を元に戻せばよいでしょう。
  • 最適化。プログラマティック広告が好調な時は、広告デマンド(広告出稿)よりもサプライ(広告在庫)の方が多くなります。現在、消費者のメディア滞在時間が記録的に伸びており、サプライが急増しています。一方、デマンドは減っているため、需要と供給の格差がさらに大きくなっています。この機会を利用して、今まで実行してこなかった変更に着手してみましょう。ビューワビリティが低く、CPM の低い記事の最後に位置する広告枠はカットしましょう。こういった変更を実行できるのは、今なのです。広告バイヤーのお客様に喜ばれることでしょう。そして、皆さんも早く実行して良かったと感じられるはずです。

広告バイヤーの皆様

  • コスト削減:クライアントに価値提供できる方法がいくつかあります。効果が抜きん出ているもの、また前回のニュースレターで述べた「再調整・再戦略化」できる分野のものは、市場が低迷する時に役に立つことでしょう。コスト削減可能な施策に注目し、皆さんがクライアントの利益を最優先に考えていることを示しましょう。
    • CPM 最適化。1月と同様、4月は低迷した状態となりますが、賢明な広告バイヤーには有効活用できるものがあります。
    • 投資機会を探り、パブリッシャーと会話して、出稿を継続しているバイヤーがメディア費を節約できる方法を、相談しましょう。大切なパブリッシャーやパートナー企業との関係を再構築するのに良い機会です。
  • 戦略の焦点:
    • 時間をかけてメッセージを的確なものにしましょう。言うは易し行うは難しです。
    • 広告主企業は皆、オーディエンス戦略を考え直していることでしょう。皆さんの顧客の行動パターンは変化したのですから、皆さんのオーディエンス戦略も変化すべきです。新しい戦略を実際に試すことを恐れずにいきましょう。
    • e コマース。POS(ポイントオブセールス) に注目し、消費者の購入経路を簡略化します。配送サービスや配送関連の施策に投資しましょう。これはデータに基づいたものではなく、私自身の勘ですが、消費者は価格よりも納品のタイミングにより敏感になっています。つまり、値段よりも、素早い配達を望んでいるのです。

業界としてこれから直面する課題に圧倒されがちですが、大きな流れの中では些細なことに過ぎないかもしれません。大局的に見れば、広告投資について憂うことができること自体が、この状況下ではある意味贅沢と考えましょう。一方で、パンデミックはこの業界でもともと起きつつあった変化を加速しているに過ぎないとも考えられます。また、イノベーションやより優れた価値をもたらす可能性のある素晴らしい試みが実行できる時でもあります。いずれにしても、私たちは変化を寛大に受け入れ、変化に単に追いついていくのではなく、先導(リード)するべきと言えるでしょう。

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