見通し

IX マーケットプレース: 2020年5月8日

チェンジからイノベーションへ

隔離生活に入ってから、丸1か月が過ぎ去ろうとしています。おめでとうございます。4月を終えたことは画期的な出来事です。1月に中国政府が武漢やその他の人口密集都市のロックダウンを決定したとき、私はアメリカで同様のことは可能なのだろうか、と考えていました。アメリカ人はそれぞれがあまりにも自立し、まとまりなく生きているように思えたのです。ロックダウンの実施に必要な協力の規模は、想像を超えるものでした。しかし、端的に言って私の考えは間違っていました。アメリカでもそれが可能であっただけでなく、思っていたよりもはるかに整然と物事は運んだのです。人々が力を出し合っていることが奏効しており、特にここ、ニューヨーク市ではそれが顕著になっています。ここまで、相当な困難ではありましたが、よく対応してきたものだと誇りに思います。それは、世界各地に対しても同様の思いです。

「パーソナルスペース」というものが物理的に重要な意味を帯びるようになった昨今、私たちの暮らしはこれまでと違った様相を呈するようになってきました。COVID-19時代において、「自分の空間が欲しい」というのは、まさに文字通りのことを指します。待ち望むのは、壁やカーテンに囲まれるのではなく、外を自由に探索したり、スクリーンからの開放です。通勤や移動により自分の予定が左右されなくなった今、曜日や週の感覚はあやふやになりつつあります。私たちは皆、移動することが物事の感覚を保つのに必要であることを実感し始めているのではないでしょうか。行動制限の解除がいかに緩やかなものでも、アドレナリン注射のように刺激的に受け入れられることでしょう。ここは辛抱強く、進展を楽しみつつ、少しでも自由が戻ってきたなら喜ぶようにしましょう。物事は徐々に改善へと向かっていますが、小さなことでも当然のことと思わないようにしましょう。

皆様の安全、健康、幸福を心からお祈りしております。

Will Doherty
グローバルマーケットプレイス開発担当上級副社長
Index Exchange

データ

*トム・ハンクスにこれが現実だと気づかされ、ウィルソンで横ばいに到達。サタデー・ナイト・ライブは、ゆっくりながらも戻りつつある希望を示している。

4月のチャート

別の視点から:業種別広告主数

初期のニュースレターで、COVID-19禍の世界に向けて、広告主はキャンペーンを見直し、戦略を組み直す必要があることについて触れました。この時期には、広告出稿が完全に停止することはないとしても、その量が低下することは予想されていました。業種別で個別の広告主の数を見てみると、これらマーケターのうち、どれほどの広告主がこの転換期をうまく乗り越え、再投資を開始したかを垣間見ることができるでしょう。旅行とエンターテイメントを除くけば、トレンドラインはほぼ全業種で継続的な改善を見せています。

消費財

今週、消毒液とビタミンDが大いにメディアで取り上げられたとはいえ、消費財の分野ではプログラマティック広告への投資が継続的に上昇しています。この業種では、出稿量が強力な伸びを見せているだけでなく、エクスチェンジ上で広告を出稿している広告主総数も上昇しています。4月の一ヶ月を見ても、消費財の全分野において、広告主数が増加していることが分かります。さらに、この2週間でこの業種からは、よりクリエイティブなメッセージが発信されるようになっています。

出典: 世界の広告

90年代に育った者としては、少しノスタルジアを感じるバドワイザーの広告のオマージュです。

出典: 世界の広告

ビジネス

この業種は、引き続きエクスチェンジ上で最も活気のある分野となっています。広告の出稿量も広告主の総数も上昇しています。特にB2B取引が上昇を続けており、通常時には概ね好調な旅行業などの業種が抜けた間隙を埋め合わせています。さらに背景を説明すると、セールスフォースやShopify、HPやアドビなどの企業が、この分野で見られる堅調な伸びのほとんどを牽引しており、一部では、COVID-19以前の水準を上回る出稿量となっています。

小売

回復はまだまだ先のようです。この分野は、COVID-19によりある程度下落した後、新四半期に入りその影響は加速度を増してきました。興味深いことに、小売業における広告主の総数は横ばいとなっているものの、出稿量はCOVID-19前である3月上旬の数に近づきつつあります。

主要小売業者は広告支出を増やししつつあり、週を追うごとに上昇傾向を示しています。この分野はeコマース限定の業態へ生まれ変わりつつある様子も見受けられます。かつて足かせともなり得た大型店舗の存在は、今や迅速な配送とサービスを提供する上で強力な武器となっています。これはまさに、、現在のように不確実な世の中に求められる柔軟性を提供するチャネルであるプログラマティック広告にとって相性の良い環境と言えるでしょう。

出典:USA Today, Alistair Barr

長期計画がほぼ全て崩れ去ってしまった…ということを、最近一様に広告主の皆様から聞いています。現時点での意思決定の多くは、短期に限定してなされているため、通常の季節性は今後しばらく当てにならないことでしょう。マーケターも一般の人々と同様、次に起こり得ることを予想しようとしています。経済活動の様々な分野の再開が検討される中、広告主は変化に迅速に対応できるよう準備をしているところです。5月には企業が状況の変化にリアルタイムで対応を試み、乱高下が頻発したとしても驚くに値しないでしょう。

スポットライト:日本

日本における広告出稿量への影響は、全般的に驚くほど平坦なものとなっています。パンデミックの期間中、旅行業や自動車、エンターテイメントなど一部の業界では顕著な減少が見られますが、市場全体は今のところ堅調です。低迷している分野の代わりに、小売業やメディア、消費財およびビジネスが入ってきています。他国で見られるように、日本でも政府が自宅勤務を奨励する大規模キャンペーンを行っています。日本における広告業界シェア上位であり、国内最大の従業員数を擁する企業の一つである電通も、政府の勧告に従っています。この変遷は、日本の職場文化に恒久的な影響を及ぼす可能性があるかもしれません。今後に注目しましょう。

歴史は繰り返さずとも、韻を踏む

今の状況が前代未聞のものであるのは確かですが、過去から何の教訓や洞察も得られないというわけではありません。これはNPRの特派員ティム・マックがツイッターに投稿したワイルドなメッセージです。

出典:Twitter, @timkmak

およそ100年前、1918年のインフルエンザ大流行の際に課せられた制限に対し、サンフランシスコの一部の人たちは今と同じような反応を示しました。そのような介入があると、必ずある程度は社会不安が生じ、一部の人が声を荒らげて反発するという事実を知ると、私は不思議と安心感を覚えます。100年前もそうであった様に、今日も同じ様が見られます。この種の人たちは出てくるべくして現れる歪みで、決してソーシャルメディアやケーブルテレビニュースに扇動された訳ではありません。必ず激しく反発する人たちが、一部に現れるものなのです。最もよく用いられている通信媒体のせいにするのは簡単ですが、実のところ、これはただ普通に起こる現象でしかないのです。

100年前のその時代にも、経済的には同様の打撃がありました。企業の収益は業種により40~70%下落した一方、業績が向上した分野(薬局)もありました。しかしながら、必要な社会的制約を導入した地域とその経済回復は相関性があるようです。下落傾向は、中期では絶対的に解消されました。現状を鑑みると、このことは幾分逸話的ではありますが、この観点は助けになると思います。どれくらい先になるか、どんな形になるかは分かりませんが、必ず回復を見ることを確信しています。そして、その回復は、現在私たちが何をするかにかかっているのかもしれません。私たちの多くはソワソワしはじめている時期だとは思いますが、今家に留まっていられるかどうかが、将来の回復の成功(とその迅速さ)を左右することでしょう。私はV字回復ではなく、U字回復を期待しています。

出典:Vox, Dylan Matthews (Senior Correspondent)

最後に

一部の国や州、市政府などが活動再開に向けて、その方法と時期を検討し始めています。これは段階的なアプローチとなり、そうスムーズには行かないでしょう。うまく行くことと同じくらい、後退してしまうこともあるでしょう。当社では、この業界がどのように変化に対応していくのか、またそれが広告出稿量にどのように表れて行くのか今後も注目していくつもりです。この業界の人たちが近いうちにオフィスに戻ることは期待できませんが、そのことはあまり重要ではないのかもしれません。少なくとも、今のところは。多少の不便はあっても、私たちはこのような混乱に対処できることは分かりました。もっと大きく、また重要な問題は、私たちの地域社会がどのように制限を解除し、それにどのように経済が反応するか、ということです。それが一瞬で起こるとは誰も考えていません。ロックダウンの影響も、未だ全容が見えているわけではありません。嵐も勢いの一つであることもあり得ます。今のところは次の目的地へ向かっているところです。そう、5月です。

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