見通し

IX マーケットプレース: 2020年9月22日

横ばいを越えて

ニュースレターの合間に、いつもより長い休みを取りました。夏があっという間に終わりを迎えようとする中、休暇を取っている人も多いため、業界分析から少し離れるのも悪くない時期ではないかと思ったのです。今年のように混沌とした状況の中では、夏がいつもより長く感じるのではないかと思っていましたが、実際はパンデミックとは無関係に、夏というものはあっという間に過ぎてしまうようです。皆さんは十分な休息やリラックスできる時間を満喫されたでしょうか。

休暇から戻った皆さんをお迎えするために、最新の業界トレンドをいくつか掘り下げてご紹介しましょう。面白い動きがこの数ヶ月で起きているため、広告出稿量を新型コロナウィルス発生前後で比較することは、もう意味が無くなってきていると言えそうです。4月と5月に見られた低下は、概ね自然に回復しています。とはいえ、もはや出稿量に大きな影響がなくなった訳ではありません。旅行や自動車は、今でも前年比で大幅に下落したままです。それでも全体的には、多くの業種では横ばいまで戻しただけでなく、場合によっては再び伸びを見せ始めています。これは小売業界特有のシーズンを迎えようという中、好ましい兆候です。実店舗売上が未だ低迷する中、電子商取引が優勢となっており、いつもの小売業界特有のカレンダーは、今年は今までに比べ遥かに流動的です。

皆様の安全、健康、幸福を心からお祈りしております。

Will Doherty

グローバルマーケットプレイス開発担当上級副社長
Index Exchange

わかった、わかったよ

例年であれば、北米などで新学期が始まる夏の終わりには活動量が大幅に上昇するものです。この傾向は米国やカナダでは「レイバーデー」の週末まで続きます。今年は、新学期の開校状況が滞っていて一貫性を欠いているだけでなく、地域によっては実店舗での販売も危ぶまれる状態であることから、広告出稿量に大きな影響が出ているのではと考え、8月1日からレイバーデーの週末までの期間を、2019年と2020年で比較してみました。

広告出稿量も CPM も昨年を上回る水準で推移しています。昨年はレイバーデーがかなり早かった(9月2日)ものの、同連休の間に数字は下落しました。ところが、今年は違っています。出稿量は堅調で、連休中を通して上昇し続けました。また、出稿量は CPM とともに、前年同期比を上回りました。

これで、第4四半期の見通しが楽観的になりました。

消費財

その他の業種については、相対的なパフォーマンスを把握するため、前年同期比に注目してみましょう。

プログラマティック広告を牽引している分野と言えるのが、消費財です。消費財も同様に好調ではありますが、状況が若干異なります。。消費財の広告出稿量は8月中旬から急上昇し、その傾向はレイバーデーの連休中続きました。おそらく、小売業界に比べCookie への依存度が低いためか、月末にかけて上昇するまで、8月中の大部分は CPM を抑えることができました。消費財は市場の軟調さを最大限に利用し、それを強みに変えることができたのです。全体の出稿量に占める割合としては、今ほど大きなシェアとなったことはありません。

自動車

自動車業種は回復に苦戦しており、この状況はしばらく続くと思われます。傾向としては順調で、少しづつ前進し続けています。

重要な点は、出稿量が前年同期比で大幅に減少しているのに対し、CPM は大幅に上昇しているということです。自動車の販売台数は前年比で大幅に減少しているものの、車の価格は大幅に上昇しているという別の傾向を反映しています。

出典:ウォール・ストリート・ジャーナル, Nora Naughton(記者)
出典:ウォール・ストリート・ジャーナル, Nora Naughton(記者)

しかし、中古車市場は盛況です。

出典:ニューヨークタイムス, Neal E. Boudette (自動車記者)
出典:ニューヨークタイムス, Neal E. Boudette (自動車記者)

旅行

旅行業界やホスピタリティー業界は、通常状態に戻るまでにはまだ長い道のりであり、それが広告出稿量にも表れています。航空会社が本格的に復活するのは、2024年になるかもしれません。私がいつも利用する航空会社は、寛大にも私の会員ステータスを2021年まで延長してくれましたが、果たしてそれで十分でしょうか。利用できるようになるには数か月どころか、数年かかるかもしれません。

出典:CNN, Maureen O'Hare (旅行担当上級デジタルプロデューサー)
出典:CNN, Maureen O’Hare (旅行担当上級デジタルプロデューサー)

 

おわりに

私たちの業界は確かに底辺から這い上がってきたものの、それが経済全体を代表していると考えるのは甘いでしょう。小売業と消費財業界の好調さと自動車および旅行業界の傾向を比べれば、不均等な経済回復の輪郭が見えてきます。プログラマティック広告は、V字回復を見せているかもしれませんが、すべての業種で一貫しているわけではありません。マクロ経済の動向を説明するのに、K字型回復という理論が浮上しています。確かに、自動車価格の上昇はこの理論と一致しているようです。低価格市場が停止状態にありながら、より高価な車は売れているので、結果として平均価格が上昇するわけです。このことも、パンデミックが個人消費にもたらした不公平さを浮き彫りにしています。裕福な人たちは新しい高級車に投資するだけの自信を感じている一方で、低価格帯の大衆車は売れずに市場に取り残されたままなのです。全体的に見て、K字型回復理論にもいくつかの有効性があるよう思いますが、業界傾向の相関性を判断するには時期尚早といえます。今後の動向に注目したいところです。

出典:MSNBC, Jeff Cox (金融編集者)
出典:MSNBC, Jeff Cox (金融編集者)